昨日銀座のメダリストパレードに行った。主催者発表で50万人が詰めかけ、興奮のるつぼと化した光景は実に壮観だった。メダリストのパレードは史上初。現地で配られた団扇=写真=にあるようにJOCと東京都、電通としてはロンドンの熱狂を東京招致課題の支持率向上につなげるのが狙いだ。FBでも元楽天のオザーン(小澤隆生さん)ら招致への機運を盛り上げようとする意見が目立った。120821五輪問題提起

ところが実態は甘くない。その朝の日経新聞13面=写真左=に冷厳なデータが載っていた。五輪閉幕後の調査で招致賛成派は51%。4月よりわずか2ポイントの上昇でしかない。目標の7割に程遠い。18日未明にはフジテレビの番組「お台場政経塾」でも招致の是非が討論され、討論論前の支持;非支持率は「7:3」、討論後は「6:4」と招致派は後退した。番組収録は五輪閉幕前だろ...うから、銀座パレードの熱気に後押しされた部分が未知数なものの、都民(国民)が一体となって招致を目指すという実情ではなさそうだ。

 

要因は何か。陳腐な分析でいえば、社会の成熟化による価値観の多様化もあろう。僕は、社会の「階層分化」が進んだせいもあると思う。サラリーマンの平均賃金は98年の467万円をピークに09年は401万円にまで低下。厚みがあった中間層が崩壊し、日本人が貧しくなった(小泉構造改革のせいというより、グローバル経済で新興国が台頭し、日本企業が敗れた結果だ)。フジの番組では、八王子で都立病院が閉鎖された事例を挙げ、杉村タイゾーら反対論者が「五輪招致に使う前に目の前の命を救うべき」的な主張をする。安達祐実の「同情するなら金をくれ」ならぬ「五輪呼ぶなら金をくれ」だ。

 

これに対し、招致賛成派の女医の友利新さんは「論点のすり替え」と指摘した。私も同感だ。先日起業家の集まりに顔を出し、招致問題を酒の肴にすると「反対派は経済を回す考えがない」という意見が出た。五輪招致は都の予算の中では「投資」と考えていい。これは僕の仮説だが、所得別に調査すると低い人ほど招致熱が低く、裕福になるほど招致熱が高くなるのではないか。分かりやすくするために敢えて差別的な物言いをすれば「貧乏人は招致に消極的で、金持ちは招致に積極的」というわけだ。僕は前者なのに積極的という不思議なポジションにはいるけれど(苦笑)

 

昨年7月、僕はある会合に参加した。早稲田大学で日本スポーツマネジメント学会のシンポジウムがあり、16年五輪招致失敗の検証が行われた。手元のメモを見返してみると、「成熟都市としての五輪」「人々のパーセプション(認識)を変えて支持率向上にどうつなげるか」――そう。すでに今日言われている論点がもう並んでいたのだ。記者時代のクセで僕は思わず、16年招致委事務総長の河野一郎さんに迫った。「パーセプションを変えるためにPR戦略を練り直すべきではないか」。残念ながら、明快な返答は得られなかった。

 

東京招致支持率の目標値である7割まで何が足りず、どう埋めるか。空中戦なら、稀代の扇動師・小泉純一郎を担ぎ出して都内の各所各所を遊説して回って「東京五輪なくして日本復活なし」なんて言うのもありだろう。タイゾー君が「小泉さんがおっしゃるなら僕はやっぱり賛成です」なんてコロリと変貌したりしてね(笑)ただし、地上戦も大切だ。つまり「草の根」からの社会運動だ。東京都による尖閣諸島買い取りでは、10億円を超えた寄付を集めたように日本人には愛国心はある。「税金の無駄遣い」という反対論に対しては、クラウドファンディングで国民一人一人の寄付を募ってもいいだろう(コケたら24年招致に回すか、スポーツ振興費に充てればいい)。Facebook、ツイッターによる「動員の革命」を東京五輪招致で発揮するのだ。

 

招致レースではイスタンブールが意外にやるのでは、という観測を五輪担当記者から聞いた。日本の財政危機の可能性も考えると、2020年五輪招致に失敗すると、日本では夏季五輪はもう出来ないかもしれない。開催地決定まで1年。「ラストチャンス」に皆さんはどう臨みますか?僕はリアル空間やFBで友達に粘り強く呼びかけていくつもりだ。(了)