実は密かにオープンカー好きな私。「車離れ」した世代と言われるアラフォー、ロスジェネにあって、そんな私は「絶滅危惧種」なのだろうか。折しも、マツダのロードスター25周年イベントを24日に取材する機会があり、選挙明けの通常業務復帰リハビリも兼ねて、新宿のイベント会場に足を運んでみた。イベントを見ながら、ロードスターの歴史、若者の消費行動を巡る言説も含めて、20~30代にオープンカー文化を問うてみたい気分になった。

■アルタビジョンを使う究極のゲーム

イベント自体は、すごく楽しめました。
場所は「笑っていいとも!」でおなじみの新宿アルタ前。いや正確に言うと、僕を含めた取材者や一般参加者は、東口広場の前のステージ周りにいるのだが、メインイベントの特製レースゲーム(勿論、車種は全てロードスター)の画面は何とアルタビジョン!操舵デバイスがスマホというのが今のゲームらしいですね。「シェイキン レーサー」と銘打っているように、専用のアプリを搭載したそれをひたすら振りまくると加速。もちろんコーナリングでは、振り方のさじ加減がカギを握る。

※アルタビジョンに向かってスマホを振りまくる参加者
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私が参加した時間帯は取材者向けで、予選~決勝を勝ち抜くと、優勝賞品として一般参加者と同じくロードスターを1か月無料レンタルできる。こう見えても学生時代はゲーセンでF1ゲームやりまくってましたからね。レースゲームはスローイン・ファストアウト走行が腕の見せ所とばかりに参加すると。。。はわわわ(⇒家入語が伝染...汗)他の3人にあっけなく置き去りに(泣)結局は後半踏ん張るも見事に最下位でゴール。取材受付時に「ファミコン世代のテクを見せてやる」と書き込んだ抱負をMCの方に読み上げられ、新宿の大通りで恥をかいてしまった。とほほ。


■風を運ぶオープンカーの魅力

大仕掛けのゲーム企画はまさに一時代を築いてきた車のアニバーサリーに相応しいが、取材に当たり、あらためてロードスターの歴史を紐解いてみた。1989年の発売以来、昨年末までの累計生産台数は92万。「2人乗り小型オープンスポーツカー」としてギネス記録を更新している。ロードスターが、日本のオープンカーを象徴する存在といっても過言でないのでは、こういう裏付けがあるからだろう。マツダの公式サイトは、読み物仕立ての開発ストーリーが記載されていて、"プロジェクトX"的な紹介がされている(ちなみに25周年サイトは動画とのハイブリッドでオウンドメディア施策としても面白い)。

筆者はロードスターを購入こそしたことはないが、その存在は常に意識していた。原風景といえるのが中学時代に千葉の片田舎で目撃したシーン。学校からの岐路、カップルが乗った赤い「ユーノスロードスター」が通りがかり、洗練された都会文化を見せつけられた。実際、長じて社会人となり、車を何台か購入したが、オープンカーを乗り継いだのもその原体験があったからなのは間違いない(残念ながら、色々な経緯やご縁で他社製を購入したが)。

※レース仕様の展示車に試乗。やはり飛ばしてみたくなる
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オープンカーのキーワードは「風」。それこそ中学生だった筆者は「都会の風」を浴びたわけだが(笑)、それはさておき、直接体感できる物理的な爽快さを楽しみたい。まもなく陽春の季節になれば絶好のシーズン。湘南など海岸沿いで潮の匂いに鼻孔を突かれながら走らせるのも気持ちいいし、個人的には初夏の山もおススメだ。緑豊かな斜面を横目に上り坂を駆っていくと、なにか山間を飛んでいるような気持ちになる。首都圏の人であればレンタカーでロードスター等のオープンカーを借りて、信州に行ってみるのもいいだろう。


■20代にとっては嗜好品!?

とはいえ、「車離れ」した世代からすれば、「ふーん?」って実感がわかないかもしれない。ロードスターが誕生した1989年は、まさにバブル時代絶頂期。DCブランド(死語)姿のカップルがデートに繰り出す際に使うようなイメージだろうか。ロードスターは前述の通り、その後、ギネス記録を叩き出すに至ったが、クルマ市場全体としてみれば、乗用車の新車販売台数は1990年の510万台をピークに近年は400万台前後と緩やかな減少傾向にある。いつしか、若者の「車離れ」がささやかれるようになった。

いや、この間、非正規雇用化が進んだことなど、常見のアニキが言うように「お金の若者離れ」で車に乗れなくなっている影響も大きい。筆者のようにバブル時代の記憶があれば、まだしも、日本が"良かった"時代を知らない20代は、オープンカーは「おとぎ話のなかの嗜好品」にしか見えないのだろう。


■次代に伝えたいオープンカー文化

おそらくマツダとしては、メインターゲットはバブル世代より上なのかな。子育てが落ち着いた裕福な世帯のセカンドカーなどとして訴求するのが現実的だと思う。ただ、こういうときにバブル世代の生き残り組や、その後のロスジェネ世代の勝ち組あたりは、自分たちが乗りこなすだけではなく、"クルマ文化のエバンジェリスト"としてオープンカーの魅力を伝えていくのもありではないだろうか。

ロードスターに関していえば、現行までの3代に渡るモデルデザインは、大きくは変わっていない。その安定感もまたロングセラーの要因にも感じる。日本のオープンカーの魅力を次代に伝承する上で、今回のようなイベントが、揺るぎない伝統をしっかり伝えていく一つの機会になるのかな。若手ブロガーのうさみのりや君(81年生)や音喜多駿君(83年生)あたりからは、「中途半端なバブルかぶれ」と、笑われてしまいそうだが、日本社会の端境期に生きてきたアラフォーオヤジとしては、良い意味で変わらない部分もあっていいのではないかと感じた次第でした。

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト