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どうも新田です。人生一度は預金通帳に億の数字を記載し、オーストラリアに旅してコアラのマーチを奏でてみたいものです。ロッテのお家騒動、今年に入ってからメディアの報道は盛り上がってないのですが、先日、臨時株主総会開催を要求した長男サイドの提案資料を精査していたら、「他人事なんだけど、これがその通りになったらロッテの社員、超絶羨ましい」と思うような興味深い項目があったんですよ。
 
HD上場なら推定価値1兆円超 !?

この前も書いたように、ロッテの経営権争奪戦の行方を握るのは、現在ホールディングス(HD)第2位の大株主である従業員持株会です。あ、長男サイドの推計ですが、公表資料に株主構成が記載してあったので、議決権ベースで見ると、こんな感じらしいです。
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▲ロッテの経営正常化を求める会資料より


これによると、黄色が長男サイド(計45.1%)、青が次男サイド(計23.8%)なわけですが、ここまでの情勢では、従業員持株会(31.1%)は次男サイドを支持している、とされていますが、それが事実なら次男サイドは一応、トータルで過半数を超えております。なので、長男サイドとしては、読売の記事にもあったように私財1,000億円を投じて社員の福利厚生基金設立で秋波を送るなど逆転を試みているわけですが、もっと面白いのは、長男サイドが仮に復帰を果たした場合、HD上場提案が実現した場合のシナリオ。あくまで彼らの試算ではありますが、推定価値は総額1兆1千億円程度になるんだとか。その際、従業員持株会の持分の推定価値は約3,000億になるわけです。

“3000億”を山分け!マリーンズ選手並みの長者も !?

で、その時、持株会を通じて株を保有する社員たちに何が起こるのか。会の実態まで精査してなかったのですが、幹部クラスの130人しか入れないらしいんですね。なので、このまま上場したら1人30億とかのボロ儲けになっちゃうんですが、長男サイドとしては、下記の図のような細かい区分を付けながらも、基本はほぼ全社員に「開放」する方針を打ち出しています。
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▲ロッテの経営正常化を求める会資料より

取り分は「山分け」になるわけですが、それでも、この図の通りだと、一般社員でも5,000万円とかになっていて、持株会会員以外の管理職なんか、1億円って、子会社マリーンズの大ベテラン、サブロー選手の今季推定年俸(6,500万円)を上回るじゃないですか。。。しかも既得権を手放すことになる現在の持株会員にも配慮して2億5,000万相当のキャピタルゲインなんて、これ、投打の柱、井口選手、涌井投手の推定年棒(井口さんは1億8,000万、涌井さんは2億2,000万)に匹敵するんですけど。。。ひゃあ(汗)

しかし、この魅惑に満ち満ちた提案も、長男サイドが復帰しないと絵に描いたモチになります。あくまで長男サイドのHD上場が実現すればの話です。

これに対し、次男サイドが提案しているのは、前回も書いたようにサントリーと同じく「中核子会社の上場」なので、従業員持株会は対象外。間接的に試算価値は上がるかもしれませんが、HD上場のような上がり方はしないのはどうみても間違いありません。そうなると、長男サイドに付いた方が社員としてはかなりお得だし、「子どもも生まれたし、そろそろマンション買いたいな」みたいな私のような物入り世代なら、まあ長男サイドに付きたくなりますわな(笑)

どちらの「上場」を選択するのか?

もちろん、次男サイドも持株会の幹部を「次男派」で固めようとしている可能性は高い。持株会の理事長が去年代わったらしいんですが、仮にその人事も関連しているとすると、たしかに「勝負あった感」は漂います。ただ、M&Aや株に詳しい人にちょっと聞いてみて勉強になったんですが、従業員持株会の理事長は議決権の行使にあたって、信託法上は会員の利益を優先しないとなりません。
第三十条  受託者は、受益者のため忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならない。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO108.html
つまり、ここで言う受託者である理事長は、受益者である持株会会員の利益に忠実じゃないとならないわけで、経営陣が介入して意のままに議決権行使をさせるのはNGのようです。仮に持株会内部の多数派が次男サイドになびいたとしても、少数派の長男サイドが「ふざけるな」と理事長を訴えたら、それはそれで場外戦が新たに勃発ということになるかもしれませんが。

まあ、そういうわけで長男サイドの「HD上場」提案と、次男サイドの「子会社上場」提案を天秤にかけて、従業員持株会がどのような判断を下すのか、どうなるんでしょうか。

新聞が内実を報じないワケ 

それにしても、長男サイドの提案があった直後のストレートニュースでは、このあたりの細かい内実が伝えられませんでした。この朝日の記事なんかは典型例で見出しだけ。
ロッテ創業者長男、従業員持ち株会に株式分配を提案へ
ロッテホールディングス(HD)の副会長を昨年1月に解任された創業者の長男、重光宏之氏は19日、グループの従業員持ち株会に対し、株式の一部を日本ロッテグループの約4千人の社員らに譲渡・分配するよう提案する考えを示した。経営への復帰をめざす宏之氏は、ロッテHDを上場させる構想を持ち、上場すれば社員らの利益につながるとしている。宏之氏は同社に経営陣の刷新を求める株主提案もしており、従業員持ち株会の支持を得ることが課題となっている。(朝日新聞デジタル2016年2月19日)
サブロー選手や井口選手並みの果実を手にする想定試算価値の話なぞ一文字もないので、隔靴掻痒な記事です。まあ、私も記者の立場にかつてはいたので、なんとなく想像付くんですが、係争中の案件に関しては、ある種の「民事不介入」的なバランス感覚が働き、長男サイドの試算数字について、慎重に取り扱っているのでしょう。アベノミクスの効果が切れて株式市場の雲行きも怪しくなっていますしね。

ただ、長男のポジショントークの試算数字だったとしても、“盛り過ぎ”ればば、すぐに第三者の専門家が疑義を呈して、叩かれるでしょから、極端に妥当性を欠く小細工はしないと思いますがね。このあたりは今後私も精査してみたいと思います。ではでは。
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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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