検察庁リニア中央新幹線の建設工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は3月2日、受注調整に関わっていた大手ゼネコン4社のうち、大成建設の元常務(現在は顧問)と、鹿島の土木営業本部の専任部長の2人を独禁法違反(不当な取引制限)容疑でそれぞれ逮捕した。

特捜事件のニュースにあまり関心がない人が速報を見たくらいでは「どうせまたゼネコンがいつもの談合をやっていたから自業自得だろう」としか思わないだろう。

ところが今回、大成は逮捕者が出た直後にだした適時開示で「到底承服しかねる」などと、なんと特捜部を非難してみせた。理由としては、元常務が12月以降、任意の取り調べに25回も応じて捜査に協力する姿勢をみせていたことなどを挙げているが、しかし、泣く子も黙る特捜部の事件で、捜査対象になった企業が真っ向から否定的な声明を公式に出した例は筆者の記憶にない。

この事件の問題点については、アゴラでも掲載している元検事の郷原信郎弁護士のブログが詳しい。法的な論点は私の専門でないのでこれ以上は立ち入らないが、逮捕容疑の不当取引制限にあたらない可能性がそれなりにあることなどから、郷原氏だけでなく、ヤメ検の弁護士を抱える大成も同様に特捜捜査の筋書きも弱点に自信をみせていたのだろう。

ゼネコンの特捜事件で徹底抗戦の動きがここまで表面化すること自体、異例としかいえないが、メディア視点でみると逮捕直後の報道は相変わらず旧態依然としたままだ。逮捕後の24時間以内にNHKが報じた続報記事の見出しをみてほしい。

リニア談合事件 ゼネコン4社で資料共有し見積価格を調整か(3日5:52)

リニア談合事件 4社の受注予定工事まとめた資料押収(3日 12:04)

リニア談合事件 JR東海の予算大幅超での受注 各社が協力か(3日 18:04)

これらの記事では特捜部の捜査内容として、4社の受注予定の工事をまとめた資料を押収し、その内容から逮捕された2社を含めた4社の談合が確定的になっていくように思わされるが、これこそ特捜部の思惑どおりの「世論操作」だ。

私自身は社会部記者経験が1年ほどしかなく、特捜事件も村上ファンド事件取材班の下っ端程度でしか直接取材したことはなかったが、社会部時代に先輩方から見聞きしたことや自分自身の取材結果との突き合わせから、「世論はこうやって作られるのか」と衝撃を受けたものだった。

そもそも特捜事件の取材の実態はどうなっているのか。各社にリークしている「関係者」とは誰なのか?

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